会社の後輩にそう言われた日、私はなぜか、涙が出なかった。
むしろ、頭の中がシンと静まり返っていた。3年前に出会ってから、彼は“あたたかい場所”だった。
優しくて、否定せず、ただ黙って私の話を聞いてくれた。
週末に会えないのも、夜しかLINEが来ないのも、「家族と住んでる」と言ったことがないのも、全部…気づいてた。
でも、認めたくなかった。
突然届いたDM。その1行に、私の心臓は止まりそうになった
ある夜、眠れずにスマホを触っていた時。
InstagramのDM欄に、見覚えのないアカウントが通知を出していた。
こんばんは。突然ごめんなさい。
あなたと主人の関係について、お話ししたいことがあります。
名前を見た瞬間、心臓が跳ねた。
彼の苗字と、過去に1度だけ聞いた“奥さんの下の名前”。
指先が震えながらも、私は開いてしまった。
彼の言葉は信じたい…でも態度が裏切っている?不安と向き合う5つのチェックポイント
そこには、3枚のスクショと、こんな一文があった。
彼があなたを選んだのは、“何も要求してこないから”です。
優しくて、静かで、彼にとっては…逃げ場として最適だったのだと思います。
私の中で、何かが壊れる音がした。
それは愛じゃなかった。
ただの“安全地帯”だった。
「君のせいじゃない」それが一番残酷だった
次の日。私は彼に問い詰めた。
「これ、何? どういうこと?」
彼は5秒黙ったあと、口を開いた。
「…ごめん。もう終わりにしよう」
私は言葉を失った。
「奥さん、昔から察しがいいんだよ。きっと前から気づいてたんだと思う。
でも今回は…もうダメだ。離婚はしない。君にも、これ以上巻き込みたくない」
“巻き込みたくない”。
一番ズルい逃げ方。
「じゃあ、私は何だったの?」
「癒し…だったと思う。ほんとに、救われてたよ」
優しい声だった。
でもその“やさしさ”が、何よりも苦しかった。
不倫に悩むあなたへ。誰にも言えない“苦しい本音”を電話占いで打ち明けたくなる心理とは?
DMの最後の一文に、私は撃ち抜かれた
彼の奥さんは、DMの最後にこう綴っていた。
あなたが彼にとって“必要”だったのは、あなたが“本気じゃなかったから”です。
彼は“愛される責任”から逃げるために、あなたを選んだ。でも、あなたには、もっと誠実に向き合ってくれる人がいると思います。
同じ過ちを繰り返さないでくださいね。
優しいけれど、冷たかった。
まるで、“見下ろされている”ような、そんな感覚だった。
私は泣いた。
でも、それは彼のためじゃない。
「私、なんて浅はかだったんだろう」
自分自身が許せなくて、ただただ泣いた。
「癒し」なんて、もういらない
1ヶ月後。
髪をバッサリ切った。
担当の美容師が笑いながら言った。
「失恋ですか?」
私は笑って答えた。
「違います。やっと、“逃げられる女”を卒業しただけ」
これからは、“誰かの都合のいい女”じゃなくて、
“私自身の味方”になる恋がしたい。